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アロマセラピーで認知症を改善できるか ② ~重度の症状も改善

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ここから記事本文です。

アロマセラピーで認知症を改善できるか ① ~期待が持てる実験結果の続きです。


1. 重度の認知症でも周辺症状の改善には望みあり


あるブログの管理人さんは、自分の母親(重度のアルツハイマー病患者)に浦上教授の方法でアロマセラピーを試した結果、認知症の中核症状(記憶・見当識・判断力など知的機能の障害)には、全く効果がなかったそうです。

ただ、この患者さんは、夜の就寝後、不安や妄想、興奮など認知症の周辺症状のため一晩に4~5回も起きていたのが、アロマを使うと熟睡して起きなくなったと言います(最近では周辺症状を『行動・心理症状(BPSD)』とも言います)。

なので、
「認知症の周辺症状の改善には、進行した認知症の状態でも、ある程度の改善は期待できるのではないかと思いました」
と管理人さんは述べています。

 参照と引用⇒アロマテラピーで認知症を予防!すぐに見られる効果もあった!?

前の記事の冒頭で触れた、認知症患者による暴力、暴言などは周辺症状に属します。
上の事例で、アロマセラピーが脳の興奮などを抑制したのであれば、同じく脳の興奮で引き起こされる暴力や暴言などの症状にも、大なり小なり有効であることを示唆するのではないでしょうか(当ブログ管理人の意見です)。



2. もう一つの実験


一方、2011年に、琉球大学の研究チームが、浦上教授が用いたのとは別のオイルで、アロマセラピーの対認知症効果を検証しています。

この研究は、アルツハイマー型の患者16人を含む32人(うち5人が中途で脱落)の認知症高齢者に対し、14日間行われました。

使われたオイルは、ラヴィンツァラ、スパイクナード、リトセアの3種類の精油(各0.9cc)をファーナスオイル(希釈用オイル)(130cc)に入れ、2%に薄めたブレンドオイルです。
これを1ml、毎日13~14時に患者の両肩と背中に塗布するという方法がとられました。

塗布法の主な利点について、同チームは、

・ディフューザー(芳香器)を使った場合は、対象者とディフューザーの距離の違いによって、吸い込む芳香成分の量に違いが生じる
・ 肌に塗る方法なら、皮膚表面から体内に浸透することで、ディフューザーを使う場合より多くの有効成分を吸収することができ、それに加えて、塗るときにも鼻から吸入された成分が脳へ直接送り込まれる

などの点を挙げています。

 参照⇒知念紫維菜他「アロマテラピーを活用した認知症高齢者の日常生活動作能力, 認知機能, および行動・心理症状に及ぼす影響に関する実証的研究」(『琉球医学会誌』31〔1-2〕、2012年)42-43、45頁。



3. 重度の認知症の中核症状が改善


検証の結果、対象者全体で生活上の行動範囲の拡大が見られました
これは、例えば寝たきりの人の生活範囲は寝床の上だけですが、そこから寝床周辺や室内へ、また屋内だけで生活していた人は、屋外或いは近隣などへと拡がるということです。
また、重度の患者の見当識と排便コントロールが改善したとしています。
一方、行動・心理症状については変化はなかったとしています。
 参照⇒知念他、前掲論文、45頁。

同チームは、この結果について、
「香りの刺激によって情動や記憶を司る扁桃体や海馬、視床下部、視床、大脳基底核の血流が増加することが報告されている」
と述べています。
 引用⇒知念他、前掲論文、47頁。

前の記事の冒頭で述べたように、失禁は介護者の大きな負担であり、アロマセラピーによってこれが緩和されることが期待されます。

また、見当識の改善は、介護者や家族の精神的負担の緩和に寄与するので、これも注目に値する結果と言えましょう。

また、この実験での症状の改善がアルツハイマー型に限定されず、脳血管型や混合型の患者にも見られたことも、極めて重要な点です。



4. 出てこない実践例


前の記事で挙げた、重度の患者さんにアロマセラピー(浦上教授の方法)を試した事例では、中核症状には効かなかったようですが、浦上教授の実験でも効果があったのは軽~中度なので、理屈の上では、重度の患者で改善しないからといって悲観する必要はないということに、一応はなります。

ところが、ネット上で今回調べた限りでは、すでに引用したテレビ番組での実験以外では、浦上教授の方法で軽~中程度以下の患者の知的機能が回復したという実践例を拾うことはできませんでした(もっとも、中程度以下の患者に効かなかったという例も出てきませんでした)。

2005年の実験から12年も経つというのに、追試的な臨床試験はおろか、上に引用したブログを除いて、一般人による実践報告すらありません(『効いた』という報告も『効かない』という報告も)。

また、琉球大学の研究結果は、重度の認知症の中核症状に対するアロマセラピーの可能性に期待を抱かせるものです。
しかしながら、浦上教授の方法と違ってテレビでは取り上げられていないせいか、この研究と同じ方法での実践例は、ネット上では見当たりませんでした。
研究者による検証報告も見つかりません。

これでは、どちらの方法も本当に効果があるのか、少々不審に思わざるをえません。
これは一体、どう考えれば良いのでしょうか。


アロマセラピーで認知症を改善できるか ③ ~効果が出ないときの対策と注意点に続きます。


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